見た目通りのコンパクトで軽快なG310R、そして排気量以上に存在感のあるG310GS。
発売以来大変好評を頂いておりますこの二台ですが、当初より「どうして310なの?」と排気量について不思議に思われるお客様が多いようです。
そこで今回はG310がどうして排気量313ccなのかについて調べてみましょう。
日本の免許制度では普通二輪免許(251cc~400cc以下)で運転できる車両に分類されるG310ですが、
果たして海外ではいったいどういう存在なのでしょうか?
ヨーロッパの沢山の国々では下記のようにバイクの免許区分がなされています。
A1
排気量が125 cc以下かつ出力が11 kW以下である自動2輪。出力が15 kWである自動3輪。
取得可能年齢:16歳 (英国では17歳。 ベルギー,オランダでは18歳。)
A2
出力が35 kW以下かつパワーウェイトレシオが0.2 kW/kg以下かつ車両から2倍以上の出力を供給されていない自動2輪であるもの
取得可能年齢:18歳 (英国では19歳。 オランダでは20歳。)
A
A1に属さないすべての自動2輪もしくは自動3輪であるもの。経験2年未満の者は、25 kW以下かつ0.16 kW/kg以下に限る。
取得可能年齢:20歳 (英国では21歳。 オランダでは22歳。) A2以下の免許で2年以上経験を有する者に限る。ただし24歳以上は経験年数の条件を適用しない。※Bライセンス所持者はチェコ(AT限定所持者)、イタリア、ラトビア、スロバキア(2年以上の経験有でAT限定所持者)、スペイン(3年以上の経験者)、ポーランド(3年以上の経験者)、ポルトガル(25歳以上またはモペッドの付加免許を有する者)、ベルギー(ベルギー人で2年以上の経験者)においてA1区分の自動二輪を運転できる。また、Bライセンス所持者はオーストリア(5年以上の経験者でA1の練習6時間以上)、フランス(A1の練習7時間以上)、ルクセンブルク(2年以上の経験者でA1の練習7時間以上)、イギリス(初等義務教習修了の者)において実地試験が免除される。
これはEEA(欧州経済領域)加盟国で共通の免許制度です。
A1→A2→Aの順に多くの種類のバイクに乗ることが出来ますね。
ここで注目したいのは日本とは違いバイクの出力による制限があることです。
日本国内ではご存知のように排気量による免許区分となっていますが、
ヨーロッパではエンジンの最高出力(kw:キロワット)及びパワーウェイトレシオによって免許が区分されているのです。
それではG310のスペックを見てみましょう。
エンジンの最大出力25kw(キロワット)と表記されていますね。
先のヨーロッパの免許区分に当てはめてみるとG310は、A2及びAライセンスで運転することが出来ます。
A2ライセンスは18歳から取得できるのでこのクラスに向けたファーストバイクとして。
Aライセンスでは24歳を越えると誰でも取得できるようですが、取得後2年間は出力25kw以下のバイクにしか乗れないように制限されているので
やはりここでもエントリーモデルとしてぎりぎりの出力を備えたモデルであると言えます。
言い方を変えると出力25kw以下であれば排気量はいくら大きくても乗って良いということですね。
また国によってはBライセンス(日本で言うところの普通自動車免許)所持者はAクラスを運転できるともあります。
そしてもうひとつの理由として保険料が挙げられます。
どうやら出力25kwやパワーウェイトレシオ、排気量600cc、この辺りを境に保険料がぐっと上がるようです。
海外の保険料見積りサイト等を覗いてみると車種やグレード毎に細かく排気量と出力、そして車両重量が掲載されています。
興味を持った方は検索してみて下さいね。
それではそろそろマトメです。
25kwという出力制限やエントリーモデルとしてのキャラクターに合わせてエンジンを設計をしていった時に、
ある程度余裕のあるトルクとエンジン自体の信頼性や耐久性を考え抜いた末にたどり着いたのが313ccという排気量なのでしょう。
排気量を小さく(例えば200ccとか250ccに)し最高回転を上げることでも
最高出力25kwを達成することは可能でしょうが、トルクは無くなり確実にエンジンの寿命は短くなります。
反対に排気量をさらに大きくしトルクに余裕が出ると最高回転数を下げたとしても最高出力25kwにする事も可能ですが、
今度は”回らないエンジン”となり、きっと気持ちよさはスポイルされてしまうでしょう。
またエンジンが大きくなると重量も増えますから車体のバランスを考えても、落ち着く排気量がここだったと言えます。
G310はBMW motorradがこだわり考え抜いた末に自信を持って送り出した1台に間違いありません。